新しい優しさが、競争を引き剥がす

新しい優しさが、競争を引き剥がす

この記事は、動画の音声を書き起こしたものです。

 

世界はいま、歴史的にみても非常に稀な根源的パラダイムシフトへと向かっているようです。

 

これは各国の財政的な行き詰まりをみても、民主主義の限界をみても、金融の終焉的な状態をみても、政治の権威に関する混乱をみても明らかに、人類が岐路に立っていることを示しています。

 

この事態を感じた人々が様々な表現で転換点を語ります。それぞれ違う分野にかかわる人たちが、違う視点から語る様々な転換点は、表現が違っても、人類が岐路に立っていることを表わしているといえるでしょう。

 

この現状を言語化できなくても、多くの人が「未来をイメージできない」という漠然とした感覚を持たれているのではないでしょうか。その感覚こそ、私たち人類が経験したことのない岐路にあることを「直観的」に感じている証しだといえます。

 

これまでの価値観が180度ひっくり返ってしまうパラダイムシフトの例として近代日本で考えても、明治維新前後や第二次世界大戦前後と私たち日本人は経験をしてきています。

 

それらと比較してもいま世界が迎えようとしている「大転換」はさらにもっと根源的な変化となりそうで、要約するならば「物質文明から精神文明へ」という言葉で表せるだろうと考えています。何千年も続いてきた物質文明が終焉を迎えるという激変はまだ明確な形で顕在化していませんが、現代社会の大量消費生活がサスティナブルでないことは多くの人が同意されるのではないでしょうか。

 

だからこそ世界では持続可能な社会を模索する動きがあるのだろうと考えられるかもしれませんが、それは同時に、いままで世界を管理してきた勢力が、これからもその支配体制を延命するための試みだということもできます。

 

奴隷制度は遠いむかしの話のようですが、いくら働いてもまともな収入にならないワーキングプアなどの労働環境、住宅ローンやカーローン、子どもの教育費や医療費、私たちは自由な社会に生きているといいながら、どこかに定住して一生働き詰めで生きなければならないのが現実です。
「我が家は年に一度海外旅行にいけるから恵まれている」という感覚に陥っていること自体が、本来人類が手にしている富からすれば貧しく、誰もが現状を「しかたない」と受け入れるしかない状態にいます。

 

中国共産党の独裁体制をみれば明らかなように、何億もの中国人を政治的強権で押さえつけるのはとてもコストがかかり不安定です。私たちが「自由な民主主義社会」と呼ぶ国々は、借金システムによって低コストで安定した管理ができるという見方もできるでしょう。この決定的な違いは、中国人は支配されていることを自覚していますが、私たち「自由な民主主義社会」の人々は自らの隷属的状態を自覚することなく受け入れているという点にあります。

 

ここで、貧富の格差は人々の能力を反映した結果なのだろうかという疑問が起こります。能力差であるならば「しかたない」という考えもあり得るかもしれません。何兆円もの資産をもつ成功者と、非正規の収入とを比較した格差ほど、その能力が違うのでしょうか。事業の成功者は「類いまれな才能と惜しみない努力を費やして」などと描かれます。でも実際の成功する過程といえば、生まれた環境や重要な人との縁、偶々いる場所やタイミングなど、偶然性に左右される変数だらけの結果です。そして何百万、何千万の人の中から「偶然」に上手くいくと頭角が現れ他の人との差別化がされます。そうなると資金が集まり、称賛され注目されることとなり、自覚や責任が芽生えれば、より勉強をして自信を増していくという好循環に入っていきます。

 

ここで重要なのは、成功した人も、人生うまくいかない人も、本来持つその能力の可能性は変わらないということです。あなたが「自分は他人より劣っている」と考えているのなら、それはこれまであなたが人生で受けてきた否定的な評価や意見の総体によって、自らが作り上げた「自分」という思い込みの限界によるものです。世の成功者も、人生うまくいかない人も、誰もが類いまれなる天才であるということは重要な事実です。人それぞれ得意な方面が違っていても、それぞれが勇敢で優れた尊い存在なのです。

 

私たちがいかに隷属的な管理をされてきたかと考えれば、自信のない人が量産されるのも当然といえます。人民を管理する側からすれば、その他多くの人に「自分の能力は大したことないからしかたない」という自己イメージを植え付けることは重要です。「物言わぬ労働者」として社会に必要不可欠でした。しかし時代はロボティクスやAI 技術によって、労働者すら不必要になろうとしています。それでもなお、人権意識の高まった働かぬ人たちをベーシックインカムで食わしていく必要があると、人民を管理する側は考えるでしょうか。

 

いま私たちは自覚しなければならないようです。いかに物質に意識を固定してきたか。いかにお金に振り回されてきたか。そのために必死で、そのために不安でならないのです。もう、この支配システムを自覚する時がやってきました。物質文明は行き過ぎると、私たちをせかせかと、せせこましく、潔癖で狭量にしていったのです。その結果として、人との繋がりが疎遠となり、コミュニティが壊れていきました。そして自らの不平不満を誰かの、何ものかのせいにして、対立し分断する社会が出来上がってしまったといえるでしょう。

 

私たちは経済や科学の発展、物質的豊かさを追求するあまりに、かつての人類が重んじてきた「精神性」を蔑ろにし忘れ去ってきてしまったようです。でもいま、このことに気づいて、精神性に価値を求める動きが、世界中で大きなうねりとして起こっています。そういった人々のなかに見られる特徴として、拘りのない軽やかさや、異なるものも包み込むような包摂性があります。それは、物質やお金に執着するからこそ、主義主張に拘るからこそ対立し、分断してきた者たちをも包み込んで秩序をもたらすような存在に思えるのです。言葉で表すならば「新しい優しさ」をもった人たちといえるような存在です。そしてこの「新しい優しさ」は、これまでの疲弊した制度や在り方に気づいて、新しい時代が指し示す方向である「精神性」を求めることによって獲得できる特徴といえそうです。

 

幸福へとつづく道は、物質的豊かさの追求ではなく、精神的豊かさの追求にあるようです。世界はグラデーションなので物質的豊かさを実現できていない国も多くあります。そんな貧しい国々でも大量消費システムによって、不当な低賃金で労働させられるという負の側面を押し付けられているのです。「自由競争」という名の、先行者有利ルールによって、不当な低賃金労働から抜け出せない構造が出来上がっています。だからこそ多くの人々がこのおかしな構造に嫌気がさして、声を上げ始めているという現象が起こっているのでしょう。

 

この構造は物質至上主義を土台として、物質の有限性を利用した「競争」という仕掛けによって転がり続けてきました。「限られているから奪い合う」という原理によって。この原理は、科学や技術の発展、ビジネス分野や我々のあらゆる分野を推し進めてきたといえます。だから「競争原理を取り入れて」などと、いいもののように語られてきました。でも「新しい優しさ」をもった人たちは、自らの生活から「競争」を丁寧に取り除いてゆくだろうと考えています。

 

競争原理は人間がつくりだしたものではなくて、自然の摂理だといえます。穏やかに見える自然の風景にでさえ、あらゆるところに「競争」があります。小さく咲きほこる花々の陰には、光を受けられずに成長できなかった花の芽があるのです。自然の摂理である「競争」を、人類が乗り越えてゆくように見えます。我々の「理性」が、競争を乗り越えていこうとしています。

 

人類は言葉の誕生とともに「理性」の道を歩んできました。言葉の誕生以前は、「沈黙」が人類の行動原理でしたが、言葉とともに人類は「理性」の道を歩みつづけてきました。この「理性の道」をひと言で表すなら、「野蛮さからの離脱」ということができると思います。人類は自らの身に張り付いた「野蛮さ」を一つひとつ剥がしてきました。世界はグラデーションなのでいまだに野蛮な地域や人々はいますが、理性の道の先端では、私たちに残る最後の野蛮さは「競争」となっています。そして自然の摂理である「競争」を、理性は人類の身から剥がそうとしているのです。

 

世界の人々の対立や分断は、競争心や防衛本能、不安感や自己正当化しようとする衝動から発しているようです。そういった野蛮さに基づく対立を、「新しい優しさ」は包み込んで無効化するでしょう。人類の歩む理性の道は「新しい優しさ」をもったものたちに牽引されてゆきます。そして 2020年代の中ごろには、「競争」から離脱しようとする運動が起こるかもしれません。まずは人々の生活にしみ込んだ「競争」を嫌悪する運動が起こるでしょう。誰かの前に割り込んだり、自分だけ得をしようとしたり、人をせかしたり、自らを追い立てたり。そういった人々の日常に入り込んだ「競争」を、「新しい優しさ」をもった人たちが立ち上がって、競争から離脱しようとする運動が起ころうとしている。そんな運動が日本から起こるのではないかと、私は考えています。

 

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