息子よ

 それだけだ。雑踏に掠れる町のはずれで、子供をつれた母親が道を譲ってくれた。それだけのことだ。人の好意がまさか自分に向けられる、何十年も忘れていたこの感じが沁みた。その笑顔に眩んだ。ただ怖気づいた俺のぶっきら棒な態度のせ […]