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社会の有るがままを、
世界の有るがままを。

「縁の下のブー」

「縁の下のブー」⑦

 夜の夕立は、僕たちや町中をずぶ濡れにしたあと、ばかみたいに降りだしたのと同じように、うそみたいに止んだ。僕たちの、ばかみたいな泣き声は、雨音にならって、うそみたいに止んでいった。縁側からの水滴が、下の水溜りに落ちた。その音と同時に、ひくっと僕は痙攣した。  雲が晴れたみたいだ。ノブオやタツヤや、ブタ夫や子猫たちが見えた。服は濡れて、寒かった。子猫たちを、僕の服の濡れていないところを見つけて、拭いてやった。  雨が止めば、また静かな境内だった。風の音だけが聞こえる。それと合わせて、何か騒々しいよ

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「縁の下のブー」

「縁の下のブー」⑥

 夏休みまで一週間をきった日、ということはノブオと別れるまで一週間をきった日、梅雨が明けた。夏の始まりの強い日差しが校庭に照りつけて、気温をぐんぐんと上げてゆく。僕たちは夏休みの予感を感じて、いつもよりすっと早く一日が過ぎた。  電話が鳴ったのは、夜の八時近かった。「ノブオくんが、そちらのお宅にお邪魔していませんか?」という電話だった。話を聞くと、ノブオが行方不明になっているという。さらに聞けば、学校の飼育小屋の戸が開いていて、中にいた豚もいなくなっているということだった。  学校から「手分けを

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「縁の下のブー」

「縁の下のブー」⑤

 日がたつにつれて、ノブオの生気が無くなっていった。カメの水替えのときにも、ノブオが手を滑らせて水槽を引っくり返してしまった。教室は水浸しで、カメは慌ててあちこちに逃げていく。この時もノブオは、ただ呆然と立ち尽くしていた。  ルリ子さんと会った日以来、タツヤがノブオを虐めることが全くなくなった。それでもノブオにちょっかいを出す奴は、何人かいた。僕は勇気をだして注意したいと毎日思うのに、出来なかった。  七月も中旬になるころ、河合先生からお知らせがあった。 「ここにきて突然のことだけど、ノブオくん

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「縁の下のブー」

「縁の下のブー」④

 七月に入っても梅雨空はつづき、後半になるほど強い雨が降るようになった。この雨と同じように、タツヤがするノブオへの虐めも、激しくなっていった。校庭で見つけるとボールを当てたり、歩いているノブオを後ろから蹴ったり、ホースからの水をかけて服を台無しにする。  タツヤの虐めが激しくなるにつれて、同調してやる人は少なくなっていったが、みんなタツヤのことが怖いので、誰もが関わりのない存在として見ているだけだった。  午後には雨がやんで、僕が帰るころには強い風が吹いていた。川沿いを歩いていると、土手の草木が

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「縁の下のブー」

「縁の下のブー」③

 河合先生は黒板に「共生」と書いて、振り返った。白いブラウスときれいな紺のスカートが、髪の長い先生に似合っている。 「キョウセイ、と読みます。どういうことかというと、違った種類のものと同じ場所で共に生きる、という意味です。私たちに置き換えて考えてみると、この町にも外国から来た人が沢山住んでいます。いろいろな国から日本にやって来て、この町に住んでいる。言葉も、食事の仕方も、考え方も違う人たちと、どうしたらお互い幸せに、上手く生活していけるのか? もっと身近なことを考えてみると、この教室の友達同士、

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「縁の下のブー」

「縁の下のブー」②

 日が落ちるまで近所で遊んだあと、急いで自転車をこいだ。僕の家の斜め前には、タツヤのアパートがある。カラスが鳴いたので何気なく目をやると、タツヤの部屋のドアを開けて、見たことのない男の人が中へ入っていった。気にもしないで、自転車を下りた。  僕の家は、お店をしている。お父さんとお母さんは白い仕事着に白い帽子をかぶって、いつも店に立っている。お母さんはショーケースの後ろに立って、笑いながらお客さんと会話する。その奥で少し太っちょのお父さんが、包丁を手に作業する。僕はランドセルを背負ったまま「ただい

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「縁の下のブー」

「縁の下のブー」①

  「縁の下のぶーちゃん」    僕が一年生だった夏、ノブオくんは転校してきた。先生に並んで紹介されたあと、ノブオくんは黄色い帽子をとると、寝ぐせのついた髪がぴんと立った。  その日の授業が終わると、僕は近所に住むタツヤくんと一緒に、教室をでて帰ろうとするノブオくんのところへ走っていった。 「なあなあ、テレビで何が好き?」  タツヤくんが少し息を切らせながら聞いた。でも僕たちは好きなテレビ番組について、興味があった訳じゃない。 「んー、ドラえもんの好いとー」  僕はタツヤくんと顔を見合わせて、く

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